KADOKAWAの刊行中止と表現の自由
-私たちはどのような社会に向かうのか
(武蔵大学教授・千田有紀)
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/344164c042e97e57ebc2afb5b70b15456d351510

KADOKAWAから発売予定だった「あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇」(アビゲイル・シュライアー著、岩波明監訳、村山美雪・高橋知子・寺尾まち子共訳)が発売停止になった。
講演会などが抗議活動で中止になることは今まであったが、本が発刊停止になるという事態は、前代未聞ではないだろうか。
しかもこの本は、『エコノミスト』誌の2020年の「その年の本」、2021年の『ザ・タイム』紙と『サンデータイムス』紙のベスト本に選ばれ10カ国もの国で翻訳されている話題の本であった。

発売が宣伝されると同時に、Amazonでの「ジェンダー」のカテゴリーでは1位、総合でも26位になっていたという情報もある。
多くのひとが関心をもって予約した。

その一方で、SNSではこの本に対する反対運動が広がった。トランスジェンダーは社会的に「感染」などしない(タイトルを虚心に読めば「ブーム」が感染するのだと書かれているし、社会現象が「感染」することは、取り立てて問題のある視座だとは私は思わないが)、
内容は読んでいないが、これはヘイト本である。すでに海外でも、そう評価している人がいるのだと。

しばき隊関係者と思しき人が、KADOKAWAの社屋の前で抗議活動をすると言い出した。また東京のみならず、地方でもその動きに同調する企画が発表された。
社屋前での街宣となれば、出版社が震えるのは当然だろう。
SNSに詳しければトランスジェンダー関連の書籍は、こうした動きがあるだろう、毎度の騒ぎだと思うかもしれないが、
出版社の上層部は寝耳に水だったのではないか。

>>1