>>103
続き



「ひ、ひ、ひぃいいはああああああああああ、ご、ごめんん、なさ、てこ、んてこと
ぁああああああああああああああああああああああああああああ」

アンブロシア?
一体何を言っているのかさっぱりと理解できなかったが、それでも謝らねばならぬと感じた。
今の自分が置かれている状況は侍のような男に手首を外され、反対方向にねじ曲がっている。

「知ってるだろうから名乗る必要なんざねえだろうが、名乗っといてやる。覇王丸、いざ尋常に・・・」

ワシには「覇王丸」の名を聞く余裕すらなかった。
ワシは間違いなく覇王丸に一刀両断されて死ぬ。
あの憎たらしい女どもへの誹謗中傷の代償が、タイムスリップしてきた最凶の剣豪にずたずたに斬られて死ぬことなのか。

手首の激痛と共に恐怖が心に襲い掛かり、ガラパゴスの股間はじわじわと染みを作りはじめた。
履いているズボンが小水でびちゃびちゃに濡れていくのだが、それでも覇王丸は許す気などさらさらない。

「いだいあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

峰打ちに持ち替えるや否や両肘と両膝めがけて打ち据えていくと、ハゲパゴスの絶叫はさらに高くなっていく。
河豚の毒のようにしびれを伴う激痛。
肘と膝は砕けて骨が皮膚を破り、文字通りダルマのような悲惨な姿になった。
覇王丸は八双の構えを取った。
おそらくは得意とする構え。

「これでも・・・食らいな!!!!!!!!!!!!!」

ハゲパゴスが今際の際、最期に見たのは。
覇王丸の刀「河豚毒」の煌めきと、刻まれた「南無阿弥陀仏」の文字。

「んて、こ、と、やまぐち、がる、ばば、あ・・・が・・・」


三角公園の隅で現場検証が行われたのは、それから一か月後の事だった。
世間一般にはハゲパゴスは「取るに足らない存在」と認知されていたため、生ゴミ同然の扱いを受けていたとの事だった。




おわり